航空券の購入
私が参加したインターンシップの場合、航空券は各自で手配することになっていましたが、航空券を申し込む旅行代理店は、なんと支店まで決められていました。それもたったの2社。少ない。

カナダ行き航空券の場合、一方の代理店のその支店では1年オープンのチケットを取り扱っていましたが、もう一方では片道しか取り扱っていませんでした。安い買い物ではないので、やはり片道よりも価格的におトクな1年オープンの往復チケットを購入しようと思うのが当然というもの。そこで、決められた航空券手配用の用紙に、「行き先:KUGLUKTUK(カナダ)」と書いて申し込みました。当然のことながら、申し込んだ時点では、そこまでどういうルートで行くのかなんて私は全く知りません。分かっているのは「KUGLUKTUK」という最寄りの空港の名前だけで、ふりがなを打つことさえ出来ません。だって発音が謎なんだもん。

わくわくドキドキして待っていたら、ある日申し込んだ代理店の人から電話がかかってきました。
「あの〜、この'クグー何とか'っていう場所なんですが〜、ここって定期便は飛んでるんですかねー?」
「え、ちょっと分かんないんですけどー。」(それを調べるのがアンタの仕事ではないのか。)
「いやー、この空港名を探したんですけど見つからなくって。定期便が飛んでない所は手配できないんですよー。」
「そーですかあ。」(焦・・・)
「あるいはですねー、今地図を見てるんですが・・・。
  この'クグー何とか'っていう所の近くに、ケンブリッジ・ベイっていう町がありますよね。
そこなら手配できるんですが。」
「はあ・・・。」(・・・でも絶対そこは違うと思う・・・。)
クグルクトゥク&ケンブリッジ・ベイの地図
地図を見ると、クグルクトゥクの位置は一応は北米大陸上ですが、ケンブリッジ・ベイは北極海に浮かぶビクトリア島にありました。「近く」と言われても地続きでない所なんかに連れて行かれたら、そこからどうやってクグルクトゥクに行けというのでしょう。それに、地図上だから数センチですが、実際はかなり離れているはず。近くまで行ければいいってものではありませんよ、代理店の方。あるいは、クグルクトゥクまでは手配できないから、イエローナイフまで行って、そこからスノーモービル?そ、それともセスナをチャーターとか?想像すれば想像するほど、どんどんサバイバルな世界が広がっていきました。

こんなわけで、かなりムカついた私はインターンシップ主催団体の事務局に電話をかけてみました。活動可能な場所かどうか調べず、結構適当に派遣を決めていた様子にお口があんぐり。だけどその時、こうなったら最後まで自分の責任で頑張るのだーガルルー!と決意したのです。

そして、その後で知りました。
クグルクトゥク(KUGLUKTUK)は旧名がコパーマインCOPPERMINE)で、数年前に改名したばかりだったということを。日本の地図には旧名で載っていること、カナダ国内以外は空港も旧名でないと見つけられないということを・・・。

結局、航空券はもう一方の旅行代理店で購入しました。だけど片道だけ。そして、そして、片道なのに、一番のオフシーズン出発なのに、代金しめて約11万8千円!最初からコパーマインという名前を知っていたら、もうちょっと安くチケットが買えたのに、ぐやじい。




現地情報の入手
これは航空券の話も含まれるのですが、本当に情報が少ない!特に当時は日本語の現地情報なんて皆無でした。インターネットでは、必死に探して見つけられるのがせいぜいイエローナイフについてのホームページくらい。でもイエローナイフはクグルクトゥクとは比べ物にならないほど規模の大きな都市です。参考になる情報は気温くらいなもので、生活情報という点ではあまり役に立ちませんでした。

結局、ホストファミリーに手紙で衣服や気候のことを尋ねました。それからコンタクトレンズ用品が買えるのかなど、小さなことでも知らないと困ることをしつこく質問しました。学校関係者の方にもFAXで質問しました。
極北になじみまくっていた現地日本人
極北に馴染みまくっていた現地日本人

そこで知りました。なんと日本人が一人いたのです。その人は私と同じ団体主催のインターンシップに参加して、それが縁でクグルクトゥクに住んでいたのです。具体的な日常生活の様子は主にその人からメールやFAXで聞きました。団体側からはインターンシップのOB・OGはいないと聞かされていたのでびっくりしました。どうも学校の名前が変わっていたので見つけられなかったようです。

行く前に私が知ったことは、

  • みんな普通の家に住んでいて、室内の温度も普通
  • 家の中ではコンピューターまで電化製品はそろっていて、CDも聞ける
  • 村の人口は当時およそ1200人で村の端から端まで歩いて行ける
  • 村には買い物できる店が2つあるが、すべて空輸のため物価が異常に高い
  • 銀行も病院もなく、病院の代わりに看護婦が常駐する医療施設がある
  • 飛行機でしかアクセスできない、つまり他の町に続く道路がない
  • コンタクト用品は村では売っていない
これらのことから、シャンプーなどの消耗品は9ヶ月分持参した方が生活費が安く上がると判断し、手に入らないかも知れない物も含めて大量の品を日本から郵送しました。ところが、品数が少ないとはいえ、カナダの他の土地でも売っているまともな商品がお店にはズラズラ〜っと並んでいたのでした。郵送代を考えると現地で買ってもそんなに変わりなかったかも知れません。日本人がいるのだからしつこく聞けばよかったものを、勝手に思い込んでしまったのですね。

いくら「普通の生活」と言われても、極地なのでどうしても現代文明から取り残されているイメージが最後まで払拭できませんでした。そしてイヌイットの方々は非常に呑気です。「まあ取りあえず村においで」というスタンスで、質問してもあまり返事をくれませんでした。




参考文献
現実的な生活の様子は分かっても、現代のイヌイットがどうやって色んな文化の混在した生活を送っているのか、それがまだピンときませんでした。そこで、カナダ北極圏やイヌイットに関する書籍を探して読みました。この類の本は書店にはあまり置いていないので、本屋さんのホームページで「カナダ」「北極」「イヌイット」などで検索して、タイトルを見て数冊購入しちゃいました。しかし、探検記以外ではなかなか見つかりませんでした。現在は、ヌナブト準州というイヌイットの自治州が出来たおかげでヌナブトに関する書籍が増えてきていますが、私が必死で情報を集めていた当時は、ヌナブト準州はまだ存在しませんでした。

私が当時購入した書籍の中で、参考になったものと言えば次の2冊です。

「北極圏の居候」
街道憲久
NTT出版

その名の通り、著者がカナダ北極圏のケンブリッジ・ベイという町に居候されていたお話です。写真も載っていたのでより実感が湧きました。航空券の話にも出ましたが、ケンブリッジ・ベイは比較的クグルクトゥクに近い場所なので、私には大変役立ちました。
「カナダ=エスキモー」
本多勝一
朝日文庫

この本は年代が古く、今ではここまでの昔ながらの生活はあまり残っていませんが、イヌイット式生活をナメんなよ!と気合を入れるのに十分過ぎるほどの内容でした。そして少し不安にもなりました。こんなに内臓ズルズル食えるだろうか・・・とか色々。(笑)


カナダ北極圏以外にも、カナダ全般についての本も探して購入しました。意外でしたが、カナダという国についての本は、旅行ガイド以外で探すのは非常に難しいのです。アメリカの本なら歴史から何でもありますが、お隣のカナダとなると研究者も少ないのでしょうか。日本ではカナダは観光以外はマイナーなのだなーという印象を強く受けました。

以下が購入した本ですが、マイナーゆえ値段も高い!ので参考までに値段も載せておきます。
「もっと知りたいカナダ」
綾部恒雄 編
弘文堂

有名な「もっと知りたい」シリーズです。マイナーな国を多く取り上げるシリーズなので、この本が存在するということ自体、カナダのマイナー性を証明するのかも知れません。比較的まだ読みやすいです。¥2,415(税込)
「カナダの地域と民族」
ダグラス・フランシス
木村和男 編著
同文舘

簡単で楽しい読み物とはいきませんが、挿絵に使われている昔の写真がなかなか興味深いです。現在は入手不可になってしまってもはやマニアの域。¥2,854(税込)
「カナダの土地と人々」
島崎博文
古今書院

カナダの土地というより地理学っぽく、ちょっと専門的です。カナダおたくの方はぜひどうぞ。
私は挫折してイヌイットに関係ある部分や興味ある部分を拾い読みして終わりました。¥2,940(税込)
「カナダ歴史紀行」
木村和男
筑摩書房

これが唯一エッセイとして読める感じの、比較的気楽な本です。
私はカナダ全州を周遊する前にこの本を読んで行き、博物館などを訪れる際に大変役立ちました。カナダの地方の歴史に詳しい本です。¥2,730(税込)





インターネット
日本語でインターネット情報がなければ英語で探すのみです。
カナダのYahoo!で「KUGLUKTUK」と旧名の「COPPERMINE」をひたすら検索しまくりました。今でこそ英語のホームページも増えましたが当時は本当に見つからず、ほとんどが探検記でした。カナダ政府の統計のページや別のページで、わずかな村の情報を得ました。涙が出るほど本当にわずかの情報だったにも関わらず、当時わが家はインターネットつなぎ放題でなかったため、プロバイダーから1万円以上もの請求が来てしまいました。

ちなみに、当時存在していた現地情報のウェブサイトとしては「NUNAVUT HANDBOOK」というヌナブトの詳細なオンライン版ガイドブックがありました。パソコン画面で長〜い英文を読む実力も気力もなく、必要なページをすべてプリントアウトし、それを辞書片手に必死で読んだ思い出があります。ところが、オンライン版は現在は残念ながら消滅してしまいました。だって、本と全く同じ文章がインターネットに載ってたんですから!それじゃ本が売れないですよね。(笑)やっぱり無くなっちゃったかーというのが正直なところです。ちなみに私は現地でこの本も買いましたが、29.95カナダドルという高価な本でした。現在では第3版まで発行しており、このウェブサイトから第3版を申し込めるので、試しに申し込んでみたら、なんと私は184番目でした。(少なっ!)でも、この本は一番のお勧めです!

(注)「NUNAVUT HANDBOOK」の最新版をオンラインで買いたい方はこちら。英語での手続きになりますが、自動的に送料まで金額が明記されるのでワリと親切です。価格は59.95カナダドル。(39.95ドル+カナダ国外への送料20ドル。)

英語がダメという方は、‘99年度版の翻訳本である「北の国へ!!―NUNAVUT HANDBOOK」も出ています。注意すべきは、シドニー・シェルダンばりの超訳であることと、装丁はおろか、内容の順番や果ては中身の地図まで原著と違っているのでまるで別の本のようで、そして当然ですが情報が少し古いです。しかし、日本語でこれだけの内容の本はこれ以外には絶対ない!というほど貴重です。超オススメ!その他、‘99年度版の原著もオンラインで販売していますね。洋書なのでお値段はバラバラです。

さて現地のインターネット接続情報については、同じく日本でインターネットで調べ、現地にノートパソコンを持っていくことにしました。そして、クグルクトゥクに国際ローミングのアクセスポイントが見つからなかったため、近所らしきケンブリッジ・ベイにつなぐことにしました。市外局番は同じだし、きっと市内通話でいけるだろうと甘く見ていました。後になってこの期待が裏切られるとは・・・。(市外通話でした。遠いもんな〜。) 




英語情報の勘違い
@英語がつたないとは恐ろしいもの。英語のサイトではよく「HAMLET OF KUGLUKTUK」と書いてありました。その「HAMLET」を調べもせずにシェークスピアのハムレットだと思い込んでしまった私は、「HAMLET OFFICE」を「ハムレットのオフィス」だからきっと劇場のことだと勘違いしました。(←オフィスを劇場だと思い込んだところにやはり無理がある。)演劇が盛んなのかな、とか勝手に想像していたら、「HAMLET」とはのことだと後で知りました。そして「HAMLET OFFICE」とは村役場のことだったのです。
ハムレット・オフィス
どこがシェークスピアやねん!村役場・・・
A「McDONALD'S POOL HALL」という施設の説明がありました。そこではファーストフードが食べられ、「POOL」やゲームセンターやビデオレンタルもあるという内容でした。この「POOL」をビリヤードと取らずにスイミングプールだと勘違いした私は、それがファーストフードのマクドナルドが経営している複合施設だと思い込んでしまいました。実際は、マクドナルドさんという人が経営するゲームセンター&ビデオレンタル屋で、ビリヤード台も置いてあり、ちょこっとスナック類が売っているだけの小さな1軒のお店でした。こんなところにマクドナルドなんてあるわけないよなあ・・・と本物を見て非常に落胆したのでした。

Bホストファミリーから送られてきた家族情報には、ペットの欄に「Dog-Outside, Guinea Pig-Inside」と書いてありました。犬を屋外で飼っているのは分かりますが、辞書で引いても「GUINEA PIG」は出てきませんでした。別々に引くと「ギニアの豚」になってしまいます。詳細は分からないものの、室内に何らかの種類の豚を飼っているのだと思っていたら、実際にお目にかかったのはモルモットでした。後で知りましたが、日本でもペットショップではギニアピッグという名前は使われているそうで、英語以前に一般常識の問題だったのかも。

とにかく、こんなバカみたいな勘違いで、現地で真実を知るたびにいちいちショックを受けていたのでした。




防寒対策は?

一番知りたかったのが寒さに関する情報です。
クグルクトゥクの冬の平均気温は−25℃以下ということで、もう何を着たらいいのか分かりません。しかし、ホストファミリーには「上着は貸してあげるから大丈夫」みたいな感じで、ぜーんぜん具体的なことは教えてもらえませんでした。(涙)

仕方なく札幌在住の姉の知識を拝借し、アウトドア関係のお店で必要な衣服と厳冬地用の靴を買いました。さらに、友達からいらなくなったスキーウェアをもらったりしました。とりあえず、必要そうなものを用意していき、後は現地調達することにしたのです。セール品などできるだけ安いものを選びましたが、それでも衣服と靴でなんと20万円もかかってしまいました。

ちなみに、安物フリースは極寒地では寒くてダメですよ〜。




出発前に購入した服  (モデル:友達)

ここでは、たくさん買い込んだ服の数々をご紹介しま〜す。
 ノースフェイスのロングダウンパーカ
ノースフェイスのパーカ


デザインもかわいく、日本の真冬には大変お役立ち!今もガンガン着ています。日本では羽毛布団を着ているように暖かいのですが、クグルクトゥクでは長時間外にいる時はこれでも寒くなりました。さらに風が強い日はフードが飛ばされて脱げてしまいました。ということでこれは普段着とし、遠出用には現地で別の物を購入しました。
バンフデザインズのフリースジャケット
バンフデザインズのフリースジャケット


「イヌイット」という柄で、イヌイットやカヌーや白熊などがデザインされています。現地で大人気で、村の人々から「どこで買ったんだ?」と聞かれまくった思い出の品。旅先では、このフリースを着ていたせいで他のカナダ人に私がイヌイットと間違われたこともありました。ところが日本では、これと全く同じものを着ていた人達が3人ともおじさんでショック〜!
バンフデザインズのフリースの帽子
バンフデザインズのフリースの帽子
上のフリースとお揃いで購入しました。
フリースシャツ2枚

日常的によく着ていましたが、乾燥機にかけ過ぎて縮んでしまいました。フリースの良いところはお洗濯がラクちんなところですが、合繊ゆえにトラブルもあります。
フリースのズボン

一番暖かい服装をする時にこれをはきました。
この下にはダマールの股引をはき、上にはスキーパンツを2本はきました。苦しい。
ノースフェイスのフリースの靴下と分厚い毛糸の靴下
ノースフェイスのフリースの靴下


完全防寒体制用です。普段ははきません。
ゴツい毛糸の靴下の上に、写真のフリースの靴下をはきました。
フリースの手袋2組

フリースの手袋2組
右側の5本指の手袋の上に左側のミトンタイプの手袋をしました。これもあくまで日常生活だけで、長時間の外出では指先が冷たくなって×でした。しかし−30℃以下の中ではティッシュで鼻をかむ余裕などなく、この手袋のまま鼻をこすってはそのまま洗濯機に放り込むという技を覚え、日常的に愛用しておりました。ちなみに5本指の手袋はモンベルのものです。
ダマールの下着

ダマールは、故ダイアナ元妃が着ていたと宣伝していたフランスの下着メーカーです。ダマールの下着には暖かさが5段階ありますが、私は完全防寒体制用に、一番暖かい5の肌着と股引を買いました。さらに日常生活用に3の股引も2枚購入しました。さすがに5の肌着は家の中では暑くて着ていられませんが、遠出する時には必須アイテムでした。極地でしか経験できないとは思いますが、風が吹いた時の暖かさが違います。そして乾くのもべらぼうに早い!
断熱材の入った靴
断熱材入りのブーツ

ケチって安物を買いました。セールで確か5800円だったと思います。札幌ではお役立ちでしたが、クグルクトゥクでは水分が靴の中にじわじわ沁み込んでしまいました。よって、インナーをよく乾かさないと次の日が地獄!後に現地で別の物を購入しましたが、普段はこれを頑張ってはいていました。
友達にプレゼントでもらったレッグウォーマー
レッグウォーマー

ものすごく役に立ったのがこのレッグウォーマー。長時間の外出の際、ズボンを何枚も重ねて履くと膝が曲がらなくなってしまいますが、一枚をこのレッグウォーマーに変えることで動きが楽になりました。感謝の雨が降り注ぐほどのお役立ちグッズでした。長さは足首から膝上5センチ位まであります。
モンベルのネックウォーマー

モンベルのネックウォーマー

日常的にはマフラーよりもこちらを愛用しました。
これは目出し帽にもなるスグレモノ。普段はこのように顔を出して使い、風に当たる時には目の上までネックウォーマーを上げて顔全体を覆いました。現地の人には怪しまれましたが・・・。
ちなみにクドイようですがこの顔は私ではありません。念のため。
スノーボード用のパンツ
スノーボード用のパンツ

これはスノーボード用ですが、クグルクトゥクではズボンの上から毎日はいていました。ズボンだけでは寒いし雪で濡れてしまいますが、このパンツで防水と風よけができます。また、つなぎでないため脱ぎ着がラクで大変重宝し、日本とクグルクトゥクを行き来する時には温度調節のための必須アイテムでした。デザイン的にもスノボー用とは気づかれなかったので、都会ではいていても恥ずかしくなく、カナダ国内を旅行中のちょっと寒い時などに絶大な効果を発揮しました。後に、夏のアラスカ旅行でも大活躍しました。


この他にも日本から持参した物はまだまだあります。結局は現地でも買い足しましたが、最初はやはり不安だったので、お金がかかってもこれだけ揃えていって良かったと思っています。



現地でのお金
海外での長期滞在にはお金も大切な問題です。私の活動期間は9ヶ月だったので、考慮の末に8千カナダドルを現地での生活費+お小遣いとしました。万が一それ以上必要になった時のために郵貯シティバンクのカードも作り、必要な時は現地通貨で引き出そうと思っていましたが、村には銀行もATMもないので引き出しができず、結局ひたすら旅行用となりました。あとは以前から持っていたVISAカードを持っていきました。

問題はどうやってお金を持っていくか?ということです。留学などでよく使われる方法は海外送金ですが、銀行のないクグルクトゥク村では不可能です。郵便為替は送金費用が安いのですがカナダドルの扱いがないらしく、米ドル為替だとオタワまで送って両替しなければならないと聞き、煩雑ゆえにこの方法はやめました。イエローナイフで銀行口座を開くという方法もありましたが、そんな簡単にイエローナイフには行けないのでこれもやめました。

ここでトラベラーズチェック(T/C)の登場です。カナダドル(C$)の場合、円からドルの現金に両替するのとドルのT/Cに両替するのとでは、1ドルあたり7円もT/Cの方がおトクなのです。8千ドル両替となると差額はかなりのものです。T/Cは現地のお店で現金化できると聞いたので、もう私にはこの方法しかない!と腹をくくりました。

結果、8千ドルを全部100ドル紙幣のT/Cに交換し、それとは別に現金で500ドル分両替しました。出発前にはこの80枚もあるT/Cにせっせとサインをし、当日はこれを全部身につけて持って行ったのです。いくらT/Cといえども大金です。盗まれたら大変なので、旅行コーナーで見つけた盗難防止用の札入れを買って、8千ドルすべてを首からヒモで吊り下げて行きました。分厚かったのでお腹の上あたりのシルエットがいびつになり、気づかれるのではとの思いから、恥ずかしいのと恐ろしいのとでビクビクしていたのを覚えています。我ながらバカみた〜い。