ヌナブト地図




ヌナブト(NUNAVUT)

イヌイットの言葉で「自分達の土地」



それは世界にも類を見ない少数民族の自治州で
1999年4月1日に誕生したカナダ3つ目の準州です。



  歴史的経緯
道標 イヌックシュック
道標 イヌックシュック



今から30年近くも前からイヌイットの人達はカナダ政府と交渉し、自分達の土地と文化の保護を訴えてきました。その粘り強い交渉が実り、'93年には「ヌナブト協定」を連邦政府と締結します。これにより、元のノースウエスト準州の東側一帯に新しい準州の創設、イヌイットの狩猟権と広大な土地所有権の確保、補償金の支払いなどが決定しました。




州都
バフィン島にあるイカルイット(IQALUIT)で旧名はフロビッシャー・ベイ。投票でランキン・インレットと競り合って州都に決定。ランキン・インレットの住民は悔しかったことでしょう。人口は約5200人。非イヌイットの割合が比較的高く、夏はカナダ南部に実家がある人々の里帰りのために、人口が一気に千人も減るのだそうな。人口5千人あまりのところで千人も減ってはたまりませんねー。
イカルイット空港と町並み
イカルイット空港と町並み



驚きの人口密度
ヌナブト準州は日本の約5.3倍もある広大な州ですが、人口は約2万7千人とわずかです。
’99年、現地にいる時に日本の人口密度とヌナブトのそれを比較してみてビックリ!なんと日本の2万4千分の1だったのです!何度も何度も電卓を叩きましたが、やっぱり2万4千分の1・・・。カナダ全体の人口密度と比較しても、カナダの人口密度は日本の110分の1ですから(←これまたスゴイけど)、ここの密度はケタ違いです。

参考までに、100平方メートルあたりの人数は日本では約337人、カナダは約3人、ヌナブト準州に至ってはなんと!約0.014人です。つまり、ヌナブトの場合は10キロ平方メートルあたりに1.4人という計算ですね。すげー・・。




土地と人々
ヌナブト準州の面積は約199万4千キロメートルでカナダ全土の約20%を占めています。文化や地理的な違いなどから、州は北東部のバフィン(BAFFIN)・南部のキバリック(KIVALLIQ)・北西部のキティクミオット(KITIKMEOT)の3つの区域に分かれています。

ヌナブトには28の小さな村(コミュニティ)があり、人口の約85%をイヌイットが占めています。どの村も驚くほどこじんまりとしており、中にはバザースト・インレットのように、人口が30人弱というコミュニティも存在します。

ちなみに、私がいたクグルクトゥク村はキティクミオット地域に属しますが、この地域だけは言葉などがヌナブト東部とかけ離れており、なぜヌナブト準州に組み込まれたのか現地でも賛否両論でした。というのは、同じ地域であったホールマンという村はヌナブトに組み込まれなかったからです。




時差
2000年10月末よりヌナブト全域が中部標準時間(CST)を採用し、日本の−15時間です。それ以前は地域により時間はバラバラでした。

ヌナブト準州の首相が各地を飛び回っても時差がない方が楽なので、時間を統一したという説もあります。が、広大な土地の時間を無理やり統一したことで、村によってはヘンな時間に日が暮れたりする現象が。さらに、以前は同じ時間帯だったイカルイットと首都のオタワに時差が生まれてしまったことで、かえって首相は仕事がしにくくなったという噂も。余計なお世話か。

ちなみに、夏季はサマータイムを導入していますが、白夜なので意味がないという意見多数。




アクセス
ヌナブト各地へは、州都のイカルイットかノースウエスト準州のイエローナイフからのフライトが一般的です。ちなみにウィニペグからランキン・インレットへの直行便もあります。

ファーストエアー
ファーストエアー
イカルイットへは、毎日オタワとモントリオールからの便があり、オタワからは直行便で約3時間のフライトです。また、ウィニペグとイエローナイフからはランキン・インレット経由のフライトがありますが、こちらは時間が相当かかることを覚悟しましょう。その他、お隣の国グリーンランドからも直行便が飛んでいます。イカルイットはカナダ南西部よりもグリーンランドの方が近いのです。

イカルイットはヌナブト各地へのハブ空港になっており、かなりの村へイカルイットから飛行機が出ています。ただしヌナブト北西部にはイエローナイフからのルートが普通です。

航空会社は、極北カナダでほとんど独占企業状態のファーストエアーや、カナディアン・ノースなど。その他小さな航空会社もいろいろあります。競争原理の働かない地域なので、お値段は覚悟しましょう。ちなみに、ファーストエアーのチケットは日本の旅行代理店では片道しか手配してもらえませんので、往復で買うなら自分で直接予約しなければなりません。シートセール(前売り割引)にブチ当たればラッキーなお値段で買えることもあります。




使用言語
シラビックス
シラビックス

言葉は、現在ではお年寄りを除いてほとんどの人が英語を話します。イヌイット独自の言葉は大きく分けて3つあり、そのうちヌナブトでは、北西部のキティクミオット地域を除いてイヌクチチュート(INUKTITUT)という言葉が使われています。州都のイカルイットではバイリンガル度高し!就学前の子供に至っては逆に英語が通じませんでした。ヌナブト準州の公用語も、英語とフランス語に加えて、このイヌクチチュートが採用されています。

イヌクチチュートの表記にはシラビックス(SYLLABICS)という独特の文字が使われます。これは元々クリー・インディアンのために開発された文字で、後にイヌイットにも紹介されて取り入れられたそうです。

ただし、北西部のキティクミオット地域では、イヌクチチュートの方言といわれるイヌイナクトゥン(INUINNAQTUN)が使われており、こちらの表記にはローマ字のアルファベット(ABC)が採用されています。イヌクチチュートとイヌイナクトゥンは、単語などは似ているものの言語構造は違っているようで、さらにシラビックスで表記された文書はキティクミオット地域では理解されません。




気候
ご想像通り、大変寒いんでございます〜。テレビで天気予報を見ていてもギャグとしか思えません。寒い日には、テレビ画面の極北カナダの地図上に、「−51℃、−42℃、−36℃なんて文字が飛び交う日もあります。−36℃の中で生活しているイヌイットのおばちゃん達が−51℃の町を噂して、「あそこじゃ寒くてやってられないねえ〜」なんて話が盛り上がることも。おばちゃん達の所も充分寒いって!と突っ込みたくなる日常会話であります。

ちなみに、州都のイカルイットの場合、1月の平均気温は−29.7℃、7月は11.4℃です。
が、ヌナブト内でも寒暖の差はあり、私が滞在していたクグルクトゥクやケンブリッジ・ベイはこれよりもさらに寒くなります。あのオーロラで有名なイエローナイフがまだ暖かいと感じるほどです。

滞在してみて実感したのは、冬の間の最低気温よりも最高気温がやたら低いということでした。昼になっても朝の気温より5℃も上がればいい方で、全く気温が上がらない日もありました。冬になると太陽が昇らなくなるので、多分それが関係しているのでしょう。