カナダの国土
カナダといえばこんなイメージ
カナディアン・ロッキー
みなさんがカナダと聞いて想像する地域は、まず観光地だと思います。例えばカナディアンロッキーやナイアガラ・・・などなど。しかし、それらの都市はみんなカナダの南部に位置しています。ほとんどのカナダの大都市がアメリカ国境近くにあり、あまりカナダを知らない人なら、アメリカとカナダのイメージは大差ないかも知れません。

しかし、カナダの地図をまじまじと見たことはあるでしょうか?実は、カナダという国はとんでもなく北にまで広がっているのです。カナダの旅行パンフレットや、有名な旅行ガイドブックの国全体の地図でさえ、カナダ極北部の一部は切れてしまっています。主要な都市が極北部にはないので、必要ないと言えばないのですが、でも実は、なんと切れてしまっている所にも人は住んでいるのです。

私がカナダ北極圏にいる時、よくイヌイットの人が地図を見て文句を言っているのを聞きました。「この地図は肝心な部分が切れちゃってて役に立たないよ。」って・・・。確かに、自分の町が地図になかったら悲しいですね。


カナダ北極圏
ヌナブト地図
「北極」とはどこでしょう。南極とは違い、北極には大陸はありません。私がかつて滞在した場所も、正確には「北極圏」です。地図の上では、北緯66度33分の地点に点線が引かれており、それ以北が北極圏とされています。

カナダには現在9つの州と3つの準州があります。それら南部の州と北部の準州の間は、北緯60度線上に州境が引かれています。それをカナダではNORTH OF 60と呼び、それより北はカナダ人にとっても未知の世界という感じで、カナダ国内からまでも観光客を集めているようです。実際、北部の各準州には先住民族が多く住み、場所によっては全く別の国にいるような感じさえします。

また、地形の関係があるので単純に北が一番寒いとも言えません。例えば、オーロラと白熊鑑賞ツアーが人気のマニトバ州のチャーチルは、緯度は60度より南ですが、そこもツンドラ地帯のイヌイット文化圏で、立派に北極圏と言えるでしょう。ということで、地図上のカナダ北極圏は北緯66度33分以北ですが、実際には北緯60度より北に行くと、北極ぽいイメージが増してくる、といった感じでしょうか。あくまでも私個人の意見ですが。


イヌイット
カナダは「人種のモザイク」と言われるように移民だらけの国ですが、先住民族もかなりいます。主にネイティブ・インディアンとイヌイット(INUIT)です。また、メティスという、ヨーロッパの毛皮商人や開拓者と結婚した先住民族の子孫もいます。ちなみに、イヌイットとは彼らの言葉で「人々」という意味で、単数形はイヌック(INUK)といいますが、今では「イヌイット」は彼らの総称となっているので、わざわざ単数形と複数形を使い分けているのをあまり聞いたことはありません。(注:インディアンという呼称は好ましくありませんが、イヌイットと区別するために敢えてここではこの呼称を使っています。)
イヌイットの先人達
イヌイットの先人達


イヌイットはかつて「エスキモー」と呼ばれましたが、これはアサバスカ・インディアンの言葉で「生肉を食べる人」という意味で、今ではこれは差別用語とされています。ちなみに、お隣のアラスカでは「エスキモー」は差別用語ではありません。これがややこしい。しかしカナダでは正式に「イヌイット」で統一されていますので、くれぐれもカナダ国内で「エスキモー」と言わないように。

カナダでは、北へ行くほど先住民族が増えていき、生活圏は、ヨーロッパ系カナダ人→ネイティブ・インディアン→イヌイットの順番で北に上っていきます。ネイティブ・インディアンが最初から多く住む南部の地域もたくさんありますが、イヌイットは極北部に限られます。西のユーコン準州からハドソン湾沿岸を経て東はバフィン島まで、また北極海に浮かぶ数々の島々やケベック州北部など、広範囲にわたってイヌイットは暮らしています。